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黙殺してきた事実ではあったが、今こそ目を向けよう。そして言おう。 太った。 なんていうか、以前に比べて太ったのは認識していたのだが、 それでもまだ何とかなると思っていた。 スーツのウエストはきついが、入らないわけではない。 新しいスーツを買うのも癪だし、着ているうちに身体の方が、 スーツのサイズにあってくるんじゃないか。 そんな風に考えていたときが、俺にもありました。 しかし今朝の事。 ズボンをはこうとして驚愕した。 ジッパーが閉じないッ! ブチャラティイィッ!! 何があったァッ!! とりあえず出してきたスーツを仕舞い、別のスーツを取り出す。 何事もない。何事もない。 ショックなどない。元々自分が豊かな体系になりつつあるのは理解していたではないか。 何を今更動じる必要性があるだろうか。 「さっきズボンが入らなかったから、新しいスーツを買わないと」 ごく自然に嫁に打ち明ける。すると嫁は 「えぇぇぇぇっ!?」 と、マスオさんのような声で驚き、「まじで!?」と問い返してきた。 そこまで驚くこともあるまい。もともと太ってきたとは打ち明けてきたのに。 「この前一緒に歩いたとき、シャツの腹の辺りが出てる君を見てショックを覚えた」 人間は日々成長するのだ。 多少のことで動じていては、この先の人生をどう乗り切るつもりなのか。 「私も頑張るから、とりあえず運動してやせようよ」 ほう。 正直に打ち明けよう。 嫁よりも、私のほうがアクティブに動いている。きっと動いている。 運動に対しても、嫁より私のほうが積極的であるはずだ。 ・ちょっと体調が悪い→寝る→運動不足による体調悪化。 傍から見ていて、まったくそのような習性を持っている彼女は いったいどれほどの積極性を私に見せてくれるのだろう。 一瞬でそのような思考に陥ったのだが、そのように感じるということは、すなわち。 私自身が太ったと言われた事実に対して、確実に内心揺れていたのは否めない。 つまり私自身太った己の身体に対して、激しいショックを受けていたのだ。 あえてそれに目を向けぬことでショックから逃れようとしていたのに、 彼女の一言は私にそれを直視させた。 故に流れるこの感情。これを不愉快と表するべきか、他に例えるべきか。 しかし事実は事実であるし、ショックを受けたところでどうにもならないので、 考えるのをやめる。 円満の秘訣は事実に向き合う事から始まるのだ。 目を背けていても、不毛な結果にしかならない。 結果を不毛とするよりは、目先にある事実を認めるほうが安上がりなのである。 どうせ既に不毛なのだから、これ以上傷を広げる必要はない。 「ああ、そうだね」 しかし人間の思考を、まったく素直に表現すること難しい。 頭の中において、理屈で己を納得させても感情はそれに屈しない。 なんとも微妙なその一言は、まさに捨て台詞と形容するべきものであった。 どうでもいいけど、うまく痩せれればスーツ代が浮くなあ。 そんな考えを持った瞬間、まったくそれは適わないであろう事柄であると気がつく。 理想を現実にするための、その努力をするに己はあまりに足らないと知っているからだ。 人間の夢は諦めた瞬間に潰える。 ――諦めたらそこで試合終了ですよ。 まさにその通りであると知る。
by unnyo8739
| 2007-07-30 10:00
| 日誌叙情駄文
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