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松山に引っ越す前に住んでいた家は、未だに現役で使われている。 養殖場からその家へと帰り、顔や手を洗った後しばらく休む。 夜になった。 ふと時計を見てみると、まだ夜には早い時間だ。 養殖場から帰ってきた頃には、日が傾きかけていたが、 あっという間に闇が濃く染まっていった。 虫の声のみが響き、暗闇に包まれた窓の外を眺めていると、 まるで深夜のように感じる。 田舎の夜は足が早いのだ。 夜の風情を感じるのはいい。 心に何かを感じる事は、素晴らしい事であると思う。 しかしいくら心を豊かにしても、腹は減るのである。 本能は感情より強く、理性を凌駕する。 頭の中は、風情よりも「晩飯」のことで一杯になっていた。 というわけで晩飯。 海沿いの民宿にて海賊焼きだった。 海賊焼きって言うのは、魚介類をそのまま炭火焼にするというシンプルな料理である。 とこぶし、アサリ等の貝類に至っては、生きたまま焼かれていた。 ううむ、改めて文字にしてみると、えらく残酷な料理のようにも思えてきた。 しかし新鮮な料理と言うのは得てしてこういうものであるのかもしれない。 色々とつついては食ったが、カブトエビというものを食ったのは、 後にも先にもこの日が初めてであるような気がする。 カニともエビともしれない味であり、美味いようなそうでもないような、不思議な味だった。 その後親戚の家に遊びに行ったりして、宇和島の夜は更けていった。 翌日、東京へ帰る前に土産を買う途中。 嫁と話す。 嫁「海鮮って焼いただけじゃあ淡白だね」 私「塩でもふって食うべきだったかな」 嫁「量がすごかった」 私「あっという間に腹にたまったね」 嫁「鶏肉もあったね」 私「地鶏だっけ」 嫁「鶏が一番美味しかった」 私「(海鮮が)淡白だったからなあ」 次はいつ頃帰る事が出来るだろう。 その前に長野にも行かなければならないなあ。 結婚するというのも、なかなか面倒くさいものだと知る。
by unnyo8739
| 2006-10-11 13:38
| 日誌叙情駄文
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