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投げ小説。 皿は彼女の後頭部を、素晴らしいタイミングで捕らえた。 激しい衝撃音がして、少女がごとりと床に倒れた。 顔面から血の気が引くのを感じた。 もし悪魔に魂を売る事で時間を元に戻せるのなら、喜んでそれを売り払っただろう。 少女の頭から、少し血が流れているのが見えた。 思わず倒れそうになった。 その場の全員があっけに取られて固まっていた。 沈黙がまるで絡みつく茨のようで、ちくちくと痛い。どうしよう、どうしよう。 「な、なんだおめえは?」 沈黙を破ったのは二人の男達だった。全員が現実に引き戻される。 「なにやってんだチビがよぉ。あぶねえだろうがぁ」 そういって男達が僕へ向かって歩を進めてくる。チビって言うな。 とりあえず女将から僕へと標的を向けることは成功したようだ。 だらだらとけだるそうに、一歩、また一歩と近づいてくる。 ついに僕の目の前にやってきた。僕よりも遥かに背が高い。 見下ろしているその表情は、ニヤニヤと笑っている。ムカつく。 成長期が来たら、僕だってすぐそれくらいになるはずなんだ。くそ。 「お、何だおめえ坊主か、坊主は坊主らしく教会で引篭もってろよ」 そして下品に笑った。
by unnyo8739
| 2006-05-26 18:18
| 僕俺私小話
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Comments(4)
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