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第 1 回 SEO コンテスト ある朝、新聞を取りに行ったら、こんな案内状が来ていた。 封にそう書いてあるだけで、他に何も書いていない。 「何だ、これ?」 宛先を間違えたのだろうか。裏面を見てみる。差出人の名前はない。 まったく身に覚えがない。そもそもSEOなんて知らない。 「ただのスパムか?」 そう思い、そのままゴミ箱に突っ込もうかと思ったが 何か気になるものがあり、そのまま手にとって部屋へと戻った。 部屋に帰った僕はいつものようにコーヒーをいれる。時刻はきっかり7時半。 そのまま新聞を開くのが日課なのだが、今日はいつもと違う。 普段ならそのまま捨ててしまうだろうものを、何の気まぐれか持ち帰っているのだ。 好奇心に駆られて?いや、胸騒ぎに近い。 とにかく気になって仕方がない。 僕はハサミを使って封を開けた。 中には二つ折りにされた紙が一枚だけ入っている。 そのままそれを開いてみる。 そこには「ゴッゴル」とだけ書かれていた。 完全にいたずらだ、僕はそう判断した。意味がわからない。 何処かの頭のイカレた奴が、たまたま僕のポストに放り込んだだけに違いない。 僕はその紙をくしゃくしゃにして、ゴミ箱に放り投げた。 放物線を描いてゴミ箱へと飛んでいく紙くず。そのままゴミ箱に入るかと思われたその時。 ドギューン 物凄い音がした。 「な、なんだ!?」 何が起きたのかわからなかった、そのまま音のした方…窓の方へ向かおうとしたその時 「これは…」 窓ガラスが割れている、いや、割れていると言うよりは、 何かが物凄い勢いで貫通したような…、ひびが入っているというべきだろうか。 そのままゆっくりと窓の反対側を見てみる。 ゴミ箱に入るはずだった紙くずが、何かに妨害されたようにゴミ箱の外に落ちている。 さらに、何故か壁に穴があいているではないか。 「ウソだろう、おい、これって…」 銃痕…?ありえない、何故だ。瞬間呆然としたが、慌ててカーテンを閉じた。 そのままの体勢でなら、もう一度飛んでくるであろう銃弾に襲われるかもしれない。 身を低くして、物陰に隠れながらカーテンを閉じる。 僕の人生で、これほど気を使ってカーテンを閉じたことなどない。 部屋を完全にカーテンで目隠しした僕は、物陰に隠れたまま考える。 「僕は何か人に狙われるような事なんてしたのか…?」 必死に考える、だが全く思いつかない。恨みを買うような事をした覚えがないし、 危険な場所に赴いて、見てはいけないものを見た、何て事も心当たりがない。 恋愛関係もありえるはずがない、僕は今付き合っている相手なんていないのだから。 過去に付き合っていた相手も、僕が振られる形で別れたのだ。 しかももう4年も前だというのに。今更そんなことでこんな目に合わされるなんてありえない。 考えろ、考えるんだ…。どうして僕がこんな目に…。 何も思いつくはずがない、まったく心当たりなどないのだ。 涙が出てきた、理由もわからないのに、部屋に銃弾を打ち込まれたのだ。 しばらく考えるうちに、だんだん僕は冷静になってきた。 「もしかして、あれは僕を狙ったんじゃなくて、何処かの流れ弾とか銃の暴発なんじゃ…?」 なるほど、それは一理あった。あの一発以外、次の銃声は聞こえない。 今日も日課どおりの時間に行動していたと思うから、銃声があったのがだいたい7時半。 時計を見てみる、7時45分。まだ15分しかたっていない。 だが逆に考えれば、15分は完全に沈黙しているのだ。 「やっぱり、事故…?」 だんだん気分が落ち着いてくる。 「とりあえず、外の様子を見てみないとわからないな…」 ゆっくりとカーテンを開ける。差し込む光がまぶしい、今日もいい天気なようだ。 だが、その天気が無性に腹立たしくもある。僕がこんな目にあっているというのに。 泣いているのか怒っているのか、自分でもよくわからない感情だ。 「お願いだ、ただの事故であってくれ、僕の滑稽な一人芝居であってくれ」 そう思いながら、ゆっくりと窓の外を確認した。 ズキューン その銃弾は正確に窓の外を確認しようとした僕を捕らえていた。 眉間を確実に射抜いている。これはプロの手口なのか? ガシャーン 激しい音がして、外を覗き込む為に使用した鏡の残りが床に落ち、割れた。 僕はもう冷静ではいられそうになかった。 相手は僕を確実に狙っているのだ、しかも相手は恐らくプロであり、その腕は確かである。 僕は完全にパニックになった。必死で耐えていた涙が、ぼろぼろと零れ落ちた。 何で、僕が、なんで、ぼくが…。 頭の中にあるのはそれだけだった。僕は完全に絶望していた、このまま死ぬと思った。 その時、奥の部屋で電話が鳴った。
by unnyo8739
| 2004-10-22 10:41
| 僕俺私小話
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Comments(1)
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