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俺の名前はPPSマン。 職業は正義の味方だ。 主な仕事は一体どういうモノかというと、狙撃。 もう物凄い勢いで狙撃。 勿論愛銃はワルサーPPS。 これで狙撃を行う。 拳銃だけど俺は正義の味方なので問題ない。 1キロ先にある釘の頭に着弾とかもう余裕。 拳銃の射程距離は最大30メートル位だけど関係ない。 何故なら俺の視力は両目とも5.0だからだ。 スコープを覗くと近眼になるから常に裸眼で狙撃を行う。 俺は動体視力も大した物なのだ。 お、どうやら今日も悪の軍団が街で暴れているようだ。 早速退治に向かわなくてはならない。 「ウワーハハハ、俺は悪の軍団ベレッタの怪人32号! 人間どもよ我が組織の前にひれ伏すが良い!」 その怪人は遊園地のショーフロアにて子供達に恐怖を与えていた。 勝手な事ばかり言いやがって、そうは問屋が卸さないぞ。 この俺がいる限り悪の栄えた試しはないのだ。 ちなみに怪人と俺との距離は大体800メートル。 俺は耳も良いのでこれだけ離れていようと悪者の声を聞き逃す事はないのだ。 早速怪人へ向けて照準を合わせる。 この距離からの狙撃は僅かのブレも許されない、ミリ単位など以ての外。 原子一個分の差が命中か否かを分ける事になる。 俺は物凄く視力が良いので原子一つ分すら見えているのだ。 照準を合わせたら後はタイミングだ。 ヒーローはヒーローらしく最も盛り上がってきたところで登場し、怪人を倒さなければならない。 俺の仕事は狙撃だが、俺は相手が何が起こったか理解するまもなく倒すような卑怯な真似はしない。 きちんと名乗りを上げて、攻撃する旨を伝えた後にトリガーを引く。 これが俺のやり方だ。 そろそろ雇ったバイトが俺の手紙を怪人に渡す頃だ。 俺は腹に気合いを入れ、狙撃の準備万端の体勢を取る。 あ、あれは俺の雇ったバイトだ。 何か殴られてるけどきちんと手紙は渡せたようだ。 そして俺はトリガーを引いた。 おもむろに倒れるバイト。 労災手当を出せとか言われる前に先にバイトから始末する事にする。 死人に口なし。 俺の仕事は完璧だ。 次に狙うは怪人だ。 これこそ俺の仕事、本分に当たる。 しっかり気合いを込めなければ。 ああ、何と言う事だ。 バイトを先に狙撃した事によってその場に混乱が起こってしまった。 逃げ回る親子連れと怪人とその手下。 あんなに動き回られては狙うモノもねらえない。 俺ピンチ、ヒーローにつきもののピンチ。 この状況をどうやって打破するか。 しかしヒーローはへこたれない。 どんなピンチにあっても常に正義を示さねばならない。 それが正義の味方としての生き様なのだ。 決して負けるわけにはいかない。 再び照準を合わせる事パニックが起こって約3秒後。 悪の組織を逃がすわけにはいかないのだ。 俺は大きく息を吸った。 そしてここぞというところでトリガーを引く。 ドシュウウウウ! 放たれた無反動砲による核弾頭は確実に敵怪人を捉えていた。 流石の悪の怪人も核の炎には耐えきる事が出来ないだろう。 これにて平和は守られた。 巻き添えになった半径10キロ四方の一般人には申し訳ないが、巨大ロボに乗って町を破壊する他のヒーローに比べればいくらも良心的な敵排除手段だ。 死の灰の降る中俺は一仕事終えた感慨に浸っていた。 俺の名はPPSマン。 孤高の正義のヒーロー。
by unnyo8739
| 2009-03-12 14:27
| 僕俺私小話
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