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書けない時は書かないのも一つの手段かと思ったが、 世の中には書けなくても必死で書かないとご飯が食えない職種の人が居るわけで。 改めて思うのだが、そういう類の人って凄いよなあ。 私なんて、わずかな短編ですらオチをどうするか考えに考え、 思いつかなくて放置してしまうというのに。 そんなことを考えていくと、成功に必要なのは才能よりも根性かもしれない。 つい先日の事。 しばらく連絡を取ってなかった、東京の創作仲間のK女史から電話が入ってきた。 私「おいすー、久しぶり」 K「いや、この前遊びに誘おうかと思ったんだけどさ」 私「ごめ、そういえば私今愛媛に帰ったんだった」 K「聞いてねえよはげ!」 完全に連絡するのを忘れてた。 まあ長い人生にはよくある事だ。気にしてたら日が暮れるので許容してもらおう。 考えてみると、K女史との付き合いもそろそろ6年近くなる。 いや、8年だっけ? まあ忘れてしまったがそれほど重要でもないだろうから良いとしておこう。 年代、年齢を口にすると気分が欝の方向へ落ち込んでしまうから。 とにかく結構長く付き合っているのだ。 久しぶりに電話したこともあり、お互いの近況を軽く話した後、 まったく連絡を取っていない知り合いの話や、仕事の話などで盛り上がる。 気がつけば一時間が経過していた。K女史との電話は毎回軽く一時間を超える。 改めて思うのだが、よくもまあこんなに話す事があるものだ。 大抵私の方が一方的に喋ってるような気もしたが。 K「じゃあそろそろ仕事の方に戻るわ、んじゃまたねー」 さらに三十分程話した後、K女史の方からそんな言葉を貰う。 明後日が締め切りの仕事がまだ丸々残っているという。 私も人の仕事を邪魔する気など毛頭ない。 「おう、分かった。んじゃ仕事頑張ってね」 そんな言葉を吐いたような気もするが、その直後に。 私はまったくもって迂闊な発言をしてしまったのである。 K女史は漫画「セイントセイヤ」が大好きな人である。 セイヤの話だけで軽くどんぶり三杯の人なのである。 過去に彼女の所謂同人漫画に私もセイヤの話を描いて本を出してみたことがある。 考えたら私の人生最初の本ってこの漫画かもしれない。 それはまあおいておいて、とにかく彼女のセイヤ好きっぷりは、 時折呆れてしまいかねないほど激しいものなのである。 K「いやいやいや、それがさあ、聞いてくれよ」 その後更に二時間近くセイヤ話追加。 セイヤの話をする彼女の、何と言う生き生きとした事。 その生き生きっぷりがあまりにも輝きすぎて、 私も「ああ、イイコトをした」と思いこめてしまうほどだ。 基本的に話の聞き手に近い彼女を、ここまでアクティブにさせるセイヤとは、 彼女にとってまさに生命のガソリンのようなものなのかもしれない。 そんな微笑ましい気分になったりしたが。 激しく訪れる猛烈な尿意。 すげえ放尿してえ。でも彼女は生き生きと会話を続けている。 尿を我慢してるうちに大きい方まで装填されて来た気がする。 彼女の話の腰は折りたくない。こんなに輝いているのに。 でも私の膀胱も暴動を起こしかねない状況だ。 膀胱が暴行とか洒落にもならない。 どうしよう。どうしよう。どうしよう。 彼女の話はまったく終わりそうにない。 ついさっきまでの親友が、瞬間的に朝礼を行う校長か何かになったかのよう。 普段ならまるで平気で食いついていける内容なのに、どうしてこの辛さ。 ええい、からさではない。つらさだ。 つらい、つらいつらいと喚いているばかりじゃ、心にしわが増えるだけ。 心のしわより先に、ぱんつと部屋がえらい事になりそうだ。 やむを得ない。 というわけで、ようやく話の中断を切り出したのだが。 私はまさに極限状態にあった。あってしまった。 K「……でさ、それから」 私「そういえば、仕事あるんじゃねえっけ」 何と言う話のぶった切りっぷり。 何と言う「ぶぶづけでもおあがりやす」的発言。 そんなつもりじゃあなかったんだ。そんなつもりじゃあ。 ただ私の、私が、本当にどうしようもなくて……。 K「あ、ああ、ごめん。そうだったそうだった、んじゃまたねー」 寂しそう過ぎた。 とりあえず。 私は今後の人生において、また一つ学習をすることが出来た。 「電話をする際にはきちんとトイレを済ませましょう」 絶対役に立つから、これ。 絶対役に立つから。
by unnyo8739
| 2007-07-17 15:33
| 日誌叙情駄文
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