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そんなこんなで気がつけば夜。 気がつかせたのは腹。 ならばと前々より予定していた串カツを食べに行った。 やはり大阪と言えば串カツ。らしい。 個人的に言わせて貰えば、大阪と言えばたこ焼きだ。 他には何一つ思いつかない。果たして何かあるだろうか。 仮にあったとしても、今日この場は串カツである。 もし私が今になって「やはり別の物を食いに行こう」などと言えば、 友人との間に更なる確執、混乱を生み出してしまうことは間違いない。 幸いにして空は晴れ渡っていた。先日の雨が嘘のようだった。 しかし、その恐るべき湿度と熱気が、まだ雨をマシに思わせたのは、 きっと私の贅沢なのだろう。 部屋を出て、階段を下りたとき、またあの獣が私にまとわりついてきたので、 さっさと玄関ドアを開けて外に出てやった。 彼らは外まで追ってこれないようだ。ざまあみろ。 串カツ屋のある所へは電車で行った。軽く十分程度だろうか。 徒歩でも行けそうなんじゃないかと思うほど近く感じた。 しかし絶対に徒歩で行くことはないだろうとも同時に思った。 大阪の夜は、恐ろしく暑かったのだ。 都内であれば、私も何となく地理が理解できる。 しかし大阪に関しては、まったく地理が分からない。 実は、大阪にまともに来たのは今回が初めてであったからだ。 これまで何度か通りすがったり、あるいは近場まで仕事で来たことはあった。 そのような意味の上では何度も来た事があるが、 ぶっちゃけそれは、まったく来た事がないのと変わらないと言うべきが正しいだろう。 現在私は愛媛に住んでいる。 もともとの出身も愛媛である。 大半の友人が高校卒業後、大阪やらどこやらと、関西に散らばった。 しかし私は腐れ縁と二人、関東へ向かった口である。 そんなわけで、大阪にも友人はいるが、都内の友人の方がその人数は多い。 それが尚更大阪への道を狭めている。 そんな事を考えながら電車に揺られているうちに、いよいよ目的の駅に到着したようだ。 確か天王寺と言ったか。 仕事帰りのサラリーマンやら何やらをかき分けて、友人の背中を追う。 だらだらとした空気が流れる。ついでにだらだらと汗も流れる。 大阪の夜は暑い。何がこんなにこの街を暑くさせるのだろうか。 ふと顔を上げた時、その正面に通天閣がどんと構えていた。 まったくもってその場所は、通天閣のお膝元であったのだ。 思ったより小さい。 いや、そもそも通天閣の事なんて考えもしなかったのに、 どうして思ったより小さいなんて思うんだろう。 日頃見ている何かと、あるいは過去に見た何かと、無意識的に結びつけているのだろうか。 まあそんな事はどうでもいいんだけれども。 というわけで串カツである。 私は何が美味いかよくわからなかったので、友人にその選択の全てを任してみた。 普段は優柔不断なくせに、何故かこの串カツに至っては、さらさらと注文を決めていく友人。 余程食いなれているのか、それとも自分が食いたいものを適当に選んでいるのか。 ほどなくして、目の前に取り取りの串カツが並んでいった。 さて。串カツという物が、どういうものかというと。 食材を串に刺して、衣を着けて揚げたものである。 それを店自慢のタレにつけて食うわけである。 いや、タレに浸すというべきか。 通常のカツであれば、揚げてあるそれの上にソースだのタレだのをかけて食べるのだが、 この串カツというやつは、揚げたそれを直接ソースだかタレに浸すのである。 それ以外にこれといって、特に大きな特徴はない。 しかし、他の地域には、こんな食べ方をするものはないかもしれない。 確かに名物と言えば名物に値するかもしれない。 「名物に美味いものなし」ということわざがある。 美味いと評判のものをわざわざ食べに行っても(期待が大きすぎて) 感動するほど美味しく感じられないという事から、評判と実物が釣り合わない事を指す。 しかし、この食品に至っては、美味いと評判のものというよりも、 その土地特有の文化と言うか、習慣と言うか。 所謂御当地料理という奴であり、名物と言うべきものではないだろう。 ぐだぐだ言ったが、一言感想を申し上げるならば、「美味かった」。 非常にうまかったが、非常に熱かった。 揚げたてが出てくるのだから当然である。 しかし私は重度の猫舌であり、熱い物をぽんぽん口に運べる人間ではない。 一度口に入れてみるものの、あまりの熱さにちょっとだけかじるのだが。 するとまったく具の部分を食いちぎることは出来ず、 衣の部分だけを食ってしまうという、よく分からない状況を引き起こした。 友人はそれを見て、「食うの下手すぎ」などと罵ったが、 真性の猫舌である私にとっては、本当に辛くてたまらなかったのだ。 そんな私の気も知らずに勝手なことを言う友人に、恨みの目線を送ってみたが無視された。 いい根性をしていると思った。 そして適当に食らうこと一時間といくばくか。 激しく満腹となり、電車に乗る頃には眠気が脳内を激しく駆け回っていた。
by unnyo8739
| 2007-06-27 13:14
| 日誌叙情駄文
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