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そんなわけで。 大阪の友人に伊丹空港へと迎えに来てもらったのだが。 往々にて降り続ける雨のまあ激しいこと激しいこと。 何か怨みでもあるのだろうか。それ以前に私が一体何をしたというのか。 人に恨みを買うような真似などほとんどした事がない。 限りなくクリーンな人生を歩んできたはずだ。 頭を抱えたくなる。 ともあれ合流。時刻は午後二時。 友人も私も食事はまだとっていない。合流後に共に食おうかと あらかじめ言っておいたからである。 飛行機の時間が丁度午後一時であり、食事を済ませた後に合流しても良かったのだが、 私が家を出ねばならない時間が、それより一時間ほど前。丁度飯時に重なるのだ。 食うにもその時間を丁度逃した形になってしまう。 早い昼食として済ませてしまっても、何一つとして問題はない。 しかしやはり久々に友に会うというのに、それはあまりに味気ない。 食事だけに尚更に。 というわけで、サイドシートに腰を下ろし、飯を食いに行こうと言ったのはいいのだが。 まったく何処に行くのか、何処に行こうとしているのかが決まらない。 正直今回の訪問の目的は、あくまで友人との無駄時間を楽しむことである。 美味い飯を食えれば上々、食えなくとも時間を共有することが何より重きになる。 私はまったくどこのどの店に連れて行ってもらっても良かったのだ。 むしろ街にある飯屋に何があるのかを知らない分、まさしく 「連れて行ってもらう」事を非常に期待していた。 が。 友「何食う?」 私「何でもいいよ、何かこの辺にないの?」 友「何でもあると思うけど、何がいいの?」 私「だから何でもいいって、とにかくすぐ近くにある適当な店でいいから」 友「近くねえ……」 そうだ。 改めて知る事でもなかったはずだ。むしろ日々の付き合いの下、 知っていて当然の事であったのに。 そう。 彼は恐ろしいほどに優柔不断なのである。びっくりするほどに自分で物を決めることを拒む。 友「何か決めてー」 私「何かってこの辺何があるかしらねえよ!」 他人に選択肢を預けるという行為はすなわち。 下記二種類の状況から察することが出来る。 一つは来客者である私に気を使っての厚意である。 折角遠方より到ったのだから、好きな物を選択してもらいたいという善意である。 もう一つは、責任の放棄である。 自己の思考を捨て去り、他人に全てを一任することで、 失敗や不具合の責任を擦り付けてしまうという、乃至擦り付けてしまおうという、 意図した悪意よりも遥かに凶悪な悪意であり、意図の下ならば最悪のそれである。 この場合、私は上記二択のうち前者から故に、彼は行き場を考えているのだろうと取るべきだろう。 そしてそれは事実であり、彼は私のために車を走らせてくれている。 私はそれに応えるべく、何かしら具体的な物を選択するべきである。 それこそが彼に対しての礼というものであろう。 私「あ、あそこにハンバーグ屋があるぞ。車線反対だけど」 友「そこにするかー」 ……。 私「おい、何か店を過ぎ去ってるぞ」 友「車線変更するの忘れた」 本気で言ってるのか、こいつは。 その後二件ほど反対車線に店があったのだが、全てスルー。 いよいよとなった際、やっと進行車線にステーキ店を見つけて入った。 肉は美味かったが、何となくこの先の不安を感じたのは秘密である。
by unnyo8739
| 2007-06-26 17:45
| 日誌叙情駄文
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